准看護師の歴史と近年の課題について

看護師の資格制度には国家資格である正看護師と、各都道府県の知事が免許を発行する准看護師があります。なぜ、このような2つの資格が存在するのでしょうか。

その理由は、戦後に病院が急激に増加し、看護師が著しく不足したことにあります。看護師の需要が高まっているにもかかわらず、看護師になるための教育を十分に受けられる女性が少なかったのです。当時の女子の多くが、高校に進学できなかったことが挙げられます。

そこで看護師需要に対応するため、中学卒業でも看護師になる手段として准看護師制度が発足しました。しかし近年では、女子の高校進学率が高くなっています。それに加えて医療技術が急速に進化し、看護師に対しても質の高い知識と技術、自主的に行動できる人材が求められているのです。

准看護師は、医師または正看護師の指示がなければ働けないという規制があります。そのため、自主的な行動はできません。このような事情を背景に、日本看護協会などが准看護師制度を廃止するべきとの意見を提唱しています。

一方日本医師会は、准看護師の廃止案に反対しているのです。その理由として、地域での初期医療において准看護師の活躍が求められていること、向上心をもって准看護師を目指す人たちの気持ちを無視していることなどを挙げています。

たしかに准看護師は2年間の学習で資格を取得でき、働きながらでも取得を目指すことが可能です。現在も看護師の不足は喫緊の課題で、今後も不足が続くと予想されます。このような状況下だからこそ、准看護師のニーズも高まっているのです。